技術情報・技術コラム
シャフトの接合をバット溶接で行う!
そもそもシャフトって何?
シャフトとは、機械や装置の動力を伝達するために使用される棒状の部品です。回転運動部分を持つ機械においては、欠かすことのできない極めて重要な部品の1つです。
シャフトの材質は、鉄・ステンレス・真鍮・銅・アルミ・ハイス鋼・クロムモリブデン鋼等様々なものが存在し、使用環境によっては、焼入れやメッキ等の表面処理を施すものもあります。また、高い真円度や寸法公差を要求されることもあります。
シャフトの接合工法
シャフトの接合は以下のような工法で行われています。
アーク溶接
アーク溶接とは、アーク放電という電気的現象を利用して、母材金属の温度を融点以上の温度に加熱し、金属同士を溶かして接合する方法です。
摩擦圧接
摩擦圧接とは、接合したい金属同士を突き合せ、高速で擦り合わせます。そのときに生じる摩擦熱で、部材を軟化させながら加圧をかけて接合する方法です。
バット溶接
溶接する金属材料をそれぞれ電極で挟み、材料の端面同士を隙間がないように突き合わせて、接触方向への圧力を加えながら、電極に低電圧・大電流を流します。そのときに生じる電気抵抗による発熱を利用して接合する方法です。
関連コラム:バット溶接とは?特徴やバット溶接機の種類も解説
バット溶接機でシャフトの溶接を行うメリット!
バット溶接機でシャフトの溶接を行うことには、以下のメリットがあります。
溶接強度が高い
バット溶接は、母材同士を突き合せての固相接合ですので、溶接強度は高くなります。
溶接品質が安定している
バット溶接は、ワーク突合せ面全体を同時に加熱し接合するので、熱歪みが少なくなります。また、毎回同電力量を与えることができるので、溶接のばらつきが少なく、安定した溶接を行うことができます。
溶接時間が短い
バット溶接は短時間での溶接です。例えば、Φ5程度のワークの場合、約1秒で溶接が完了します。
作業者スキルが不要
バット溶接は自動で行いますので、作業者が代わっても同等の溶接ができます。
ランニングコストが低い
バット溶接では、溶接棒やシールドガス等は使用しませんので、基本的に消耗品は電極のみです。
バット溶接機によるシャフトや丸棒・パイプの溶接例
前述した通り、バット溶接機によるシャフトの溶接には様々なメリットがあります。ここからは、シャフトの具体的な溶接例を紹介します。また、成形されたシャフトだけでなく、円形断面の棒(丸棒)やパイプも溶接可能であり、以下に溶接例を挙げます。
駆動用シャフト
シャフトと継手の接合にバット溶接を利用します。シャフトと継手に異材を使用することで、軽量化や強度向上を狙うことができます。
溶接ワイヤー
溶接ワイヤーを連続供給するためにバット溶接を利用します。使用中コイルの後端と次コイルの先端を接合することで、稼働中設備の連続運転が可能になります。
線引きライン等 投入ワーク
線引き等のライン投入ワークを連続供給するためにバット溶接を利用します。バット溶接は溶接強度が高いので、高いテンションに耐えることができます。
鉄筋
せん断補強筋の溶接にバット溶接を利用します。アーク溶接よりも、短時間の溶接で安定した高強度溶接が可能です。
パイプリング
リング形状ワークの溶接にバット溶接を利用します。バット溶接は他の溶接方法に比べて熱歪みが少ない為、パイプの円周を精度良く溶接することが可能です。また、トーチが入らないような小径ワークにも対応可能です。
他にも様々な製品・用途にバット溶接が使用できます。以下に具体的なアプリケーションを掲載していますので、是非ご確認ください。
こんな製品・用途でバット溶接機が使用できる
バット溶接機の導入なら、当社にお任せください!
当ページでは、シャフトの溶接にバット溶接を活用することのメリットを紹介しました。
当社では、シャフト溶接の自動化ラインの構築も含めて、バット溶接機を用いた課題解決提案を行います。
シャフトの溶接工法を検討されている皆様、バット溶接機の導入を検討中の皆様、お気軽に当社にご相談下さい。